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光ケーブルのマルチモードとは?シングルモードとの違いや仕組みを詳しく紹介

インターネットやデータ通信の速度がますます重要になる中で、光ケーブルは高速かつ安定した通信を可能にする重要なインフラとなっています。特にデータセンターや企業内ネットワークでは、光ケーブルの使用が標準となりつつあります。

光ケーブルには「シングルモード」と「マルチモード」の2種類がありますが、この記事ではマルチモード光ケーブルに焦点を当てて詳しく解説します。「マルチモードって名前は聞いたことがあるけど、具体的にどんな特徴があるの?」「どんな場面で使えるの?」といった疑問に答えていきます。

1. 光ケーブルとは?

光ケーブルは、光ファイバーと呼ばれる細いガラスまたはプラスチック製の繊維を使用してデータを送受信する通信ケーブルです。従来の銅線ケーブル(ツイストペアケーブルや同軸ケーブル)とは異なり、電気信号ではなく光信号を用いることで、高速かつ長距離のデータ通信が可能になります。

🔹 従来の銅線ケーブルとの違い
  • 通信速度が高速
    光信号は電気信号よりも速度が速いため、データ転送が迅速に行えます。特に大量のデータを扱う場面でその効果が発揮されます。
  • 長距離通信が可能
    銅線は長距離になると信号減衰が起きやすくなりますが、光ファイバーは減衰が少なく、長距離でも安定した通信が可能です。
  • ノイズ耐性に優れている
    電磁波や電気的な干渉(EMI)を受けにくいため、安定した通信品質を確保できます。
🔹 光ケーブルの種類

光ケーブルは一般的に以下の2種類に分けられます 

  • シングルモード光ケーブル(SMF)
    • 光信号が 一方向の経路(モード) を通るタイプ
    • 伝送距離が長い(数十キロメートル以上)
    • 高価で設置が難しい
  • マルチモード光ケーブル(MMF)
    • 光信号が 複数の経路(モード) を通るタイプ
    • 伝送距離が短い(数百メートル程度)
    • コストが比較的安価

本記事では、このマルチモード光ケーブルについて、詳しく解説していきます。


2. マルチモード光ケーブル(MMF)とは?

マルチモード光ケーブル(Multi-Mode Fiber  MMF)は、光信号がケーブル内で複数の経路(モード)を通る特徴を持つ光ケーブルです。

この「モード」とは、光信号がコア内で伝わる経路のことを指します。マルチモード光ケーブルでは、光がコア内で反射を繰り返しながら進み、複数の経路を通ることで通信が行われます。


🔹 コア径が大きい

マルチモード光ケーブルは、シングルモードに比べてコアの直径が大きいのが特徴です。

  • コアの直径 50ミクロンまたは62.5ミクロン
  • シングルモード光ケーブルのコア径は約9ミクロン

コアが大きいことで、より多くの光信号(モード)を同時に通すことが可能になります。これにより、通信速度や帯域幅が向上し、短距離での大容量データ通信に適しています。

🔹 複数のモードを同時に通せる

マルチモード光ケーブルは、複数の光信号(モード)を同時に通すことができます。これにより、1回の通信で大容量のデータを送受信可能です。

  • 一般的なマルチモード光ケーブルの種類
    • OM1(62.5ミクロン)
    • OM2、OM3、OM4(50ミクロン)
  • 高速通信に対応可能
    • OM3、OM4では10Gbps以上の高速通信が可能

🔹 伝送距離は短め

マルチモード光ケーブルは、コア内で複数の経路を通るため、信号が伝わる速度にわずかな差が生じます。このため、長距離通信には不向きです。

  • シングルモード 最大数十km
  • マルチモード 最大数百メートル

3. マルチモードの動作原理

マルチモード光ケーブルの動作原理は、光がケーブル内で複数の経路を通ることに基づいています。これにより、光信号が伝送される仕組みを詳しく見ていきましょう。


🔹 反射と屈折

マルチモード光ケーブル内では、光信号がコアの内壁で反射を繰り返しながら進みます。この反射は、コアとクラッド(外層)の屈折率の差によって起こります。

  • 光がコアに対して一定の角度で入射すると、屈折が起こる
  • 屈折率の違いによって光がコア内に閉じ込められる
  • 光が反射を繰り返しながら前に進む

🔹 モード間の速度差

光信号は異なる経路(モード)を通るため、それぞれの経路で信号の伝送速度が異なります。この結果、信号が受信側に届くタイミングにズレが生じます。

この現象をモード分散と呼び、以下のような影響を与えます 

  • 受信信号が不安定になる
  • 通信速度が低下する
  • 伝送品質が劣化する

4. マルチモード光ケーブルの種類

マルチモード光ケーブルには、いくつかの種類があり、それぞれの特性によって適用範囲が異なります。特にデータセンターや企業ネットワークなど、高速かつ安定した通信が求められる場面では、適切な種類を選定することが重要です。

4.1 50/125マルチモード光ケーブル(OM2、OM3、OM4)

これらは、コアの直径が50ミクロンで、クラッドの直径が125ミクロンの光ファイバーケーブルです。このタイプは、特に高データレートや高速通信に適しています。

  • OM2: 最大伝送距離が2Gbpsで、最大距離は550メートル程度です。通常のネットワーク環境で利用されます。
  • OM3: 最大伝送距離が10Gbpsで、最大距離は300メートル程度です。一般的にデータセンターで使用されることが多いです。
  • OM4: 最大伝送距離が40Gbpsまたは100Gbpsで、最大距離は150メートル程度です。高帯域幅と高性能を求める環境で使用されます。

4.2 62.5/125マルチモード光ケーブル(OM1)

こちらは、コアの直径が62.5ミクロンで、クラッドの直径が125ミクロンの光ケーブルです。現在では古い規格となりつつありますが、依然として一部の既存のインフラでは利用されています。

  • OM1: 最大伝送距離が1Gbpsで、最大距離は275メートル程度です。従来のネットワークに適していますが、高速通信には不向きです。

5. マルチモード光ケーブルの用途

マルチモード光ケーブルは短距離でのデータ通信に最適化されており、以下のような用途で広く活用されています。

  • LAN(ローカルエリアネットワーク): 高速なデータ転送が必要な社内ネットワークに使用されます。特に、OM3やOM4のタイプは、10Gbps以上の速度をサポートします。
  • データセンター: 高速で大量のデータを転送するため、データセンター内で広く使用されています。OM3やOM4のような高性能なマルチモードケーブルが利用されます。
  • オフィスやキャンパスネットワーク: マルチモード光ケーブルは、構内通信の高速化にも役立ちます。特にオフィスビルや教育機関などで利用されます。

6. マルチモード光ケーブルとシングルモード光ケーブルの比較

マルチモード光ケーブルとシングルモード光ケーブルには、それぞれ特有の利点と制約があります。

特徴マルチモード光ケーブルシングルモード光ケーブル
コアの直径50~62.5ミクロン約9ミクロン
伝送距離数百メートル程度数十キロメートル以上
帯域幅低~中
適用範囲短距離通信長距離通信
光の伝播モード複数のモード1つのモード

シングルモード光ケーブルは長距離伝送に優れていますが、マルチモード光ケーブルは短距離での高速通信に適しており、データセンターや企業内ネットワークなどではマルチモードが広く利用されています。

7. まとめ

マルチモード光ケーブルは、短距離での高速通信を実現するための光ケーブルとして、データセンターや企業のネットワークにおいて重要な役割を果たしています。シングルモード光ケーブルと比較して、コストが低く設置が容易なため、特定の用途では非常に効果的です。

しかし、伝送距離の制限があるため、長距離通信が必要な場合はシングルモード光ケーブルの方が適しています。ネットワーク環境に応じて適切な光ケーブルを選定することで、通信の安定性や速度を最適化することができます。

マルチモード光ケーブルを導入する際は、データ転送速度や帯域幅、コアのサイズを考慮し、最適な種類を選ぶことが大切です。

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