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スイッチングハブとは?基本から仕組み・種類・選び方まで徹底解説

ネットワーク機器の中でも「スイッチングハブ」は、オフィスや家庭内のネットワーク構築に欠かせない重要な存在です。LANケーブルを使って複数の機器(パソコン、プリンター、サーバーなど)を接続し、効率的に通信を管理する役割を果たします。

特に近年では、インターネット通信の高速化やデータ量の増加に伴い、スイッチングハブの性能や機能への要求が高まっています。インターネットを快適に利用するために、スイッチングハブはもはや必須アイテムといえるでしょう。 この記事では、スイッチングハブの基本的な仕組みから種類、具体的な使い方、選び方までを詳しく解説します。スイッチングハブを導入したいけれど「どれを選べばいいかわからない」という方も、この記事を読めば選び方のポイントがきっとつかめるはずです。


1. スイッチングハブとは?

スイッチングハブ(Switching Hub)は、LAN(ローカルエリアネットワーク)内で通信を効率化するためのネットワーク機器です。ハブ(Hub)は本来「中心」や「中継点」を意味し、ネットワークにおいて複数の機器を接続して通信を可能にする役割を持っています。

スイッチングハブは、接続された機器同士が効率的にデータをやり取りできるように「スイッチング機能」を備えています。このスイッチング機能により、通信の衝突(コリジョン)を回避し、ネットワーク全体のパフォーマンスを向上させます。

イメージとしては、一般的な道路と交差点を思い浮かべてみてください。単純なハブは交差点で信号がなく、車(データ)が衝突しやすい状態。スイッチングハブは交差点に信号を設置し、スムーズに通行できるようにしたようなものです。この「信号」の役割を果たしているのがスイッチング機能なのです。


1.1. スイッチングハブの役割

スイッチングハブの主な役割は以下の通りです。

通信の中継
複数の機器をネットワークに接続し、データを中継します。これにより、ネットワークに接続された全ての機器が円滑に通信できるようになります。

通信の振り分け
スイッチングハブは受け取ったデータの宛先を識別し、必要な機器にだけデータを送ります。これにより、余計な通信を防ぎ、ネットワークの負荷を軽減します。

通信速度の向上
通信経路を最適化し、ネットワーク全体の速度や安定性を向上させます。特にデータ量が多いオフィスなどでは、この効果が大きく現れます。

通信トラフィックの制御
データの衝突や過負荷を防ぎ、通信品質を安定させます。これにより、安定したインターネット接続が実現します。


1.2. スイッチングハブと単純なハブの違い

スイッチングハブは「スイッチ機能」を備えたハブですが、従来の「ハブ」とは以下のような違いがあります:

項目ハブスイッチングハブ
データ転送方法受け取ったデータをすべてのポートに送信受け取ったデータを宛先機器にのみ送信
通信衝突(コリジョン)発生しやすい発生しにくい
通信速度低速高速
ネットワーク効率低い高い

従来の単純なハブは、データをすべてのポートに送信するため、通信の衝突が起きやすく、結果として通信速度が低下しがちでした。

一方で、スイッチングハブは受け取ったデータを分析し、必要な宛先にだけデータを転送します。このため通信の衝突が起きにくく、ネットワークの効率と速度が大幅に向上します。


2. スイッチングハブの仕組み

スイッチングハブは、OSI参照モデルの【第2層(データリンク層)】において動作します。OSI参照モデルとは、ネットワーク通信を「7つの階層」に分けて考える国際的な基準です。それぞれの層が役割を持っていて、通信がスムーズに行われるように設計されています。

スイッチングハブが担当する第2層(データリンク層)は、データを送りたい機器を正しく認識して、通信をスムーズに行うための層です。ここで重要になるのが「MACアドレス(Media Access Control Address)」と呼ばれる識別番号です。

MACアドレスは、ネットワークに接続されているすべての機器に固有に割り当てられている12桁の番号です。例えば、パソコンやプリンター、スマートフォンなど、それぞれにユニークなMACアドレスが割り当てられています。これをスイッチングハブが記憶することで、「どの機器からデータが送られてきたか」「どの機器にデータを届けるべきか」を判断できるようになるのです。


2.1. MACアドレスによる通信

スイッチングハブの動作の流れは以下のとおりです。

  1. 接続された機器がスイッチングハブにデータを送信
  2. スイッチングハブは送信元機器のMACアドレスを記録
  3. 受信したデータパケットを解析し、宛先のMACアドレスを特定
  4. 宛先機器が接続されているポートにのみデータを送信

イメージとしては、宅配便の配送に似ています。送り主(送信元機器)の住所(MACアドレス)と受取人(宛先機器)の住所(MACアドレス)を正確に把握していることで、配達員(スイッチングハブ)が効率よく荷物(データ)を届けることができるようなものです。


2.2. スイッチングハブの学習機能

スイッチングハブには「MACアドレステーブル(CAMテーブル)」という記録機能があり、通信を行った機器のMACアドレスと接続ポートを学習します。この学習機能により、通信経路が最適化され、データ転送がスムーズになります。

スイッチングハブは受信したデータパケットのMACアドレスを分析し、必要な宛先にだけデータを転送します。そのため、従来のハブのように関係のない機器にまでデータが送られることがなくなり、ネットワークの効率が格段に向上します。


3. スイッチングハブの種類

スイッチングハブには、主に以下の3つの種類があります。それぞれの特徴や用途を押さえて、自分の環境に合ったものを選ぶことが重要です。

3.1. アンマネージドスイッチ

  • アンマネージドスイッチは、設定が不要で、ケーブルをつなげばすぐに使えるタイプです。
  • 家庭用や小規模なオフィスなど、シンプルなネットワークに適しています。
  • 基本的な通信制御だけを行うため、細かい設定や管理が必要ない環境におすすめです。
  • 例: 自宅でパソコンやスマートTV、ゲーム機を接続して使う場合や、小規模オフィスでプリンターやPCをつなぐ場合にぴったりです。

3.2. マネージドスイッチ

  • マネージドスイッチは、ユーザーが通信の設定や制御を細かく行えるタイプです。
  • 大規模なネットワークや複雑な通信が必要な環境に適しています。
  • VLAN(仮想LAN)の設定が可能で、部署ごとにネットワークを分けたり、通信の優先度を設定したりできます。
  • ネットワークの状態を監視できるため、トラブルが起きたときに原因を特定しやすくなります。
  • 例: 社内のネットワークを部署やフロアごとに分けたい場合や、通信のセキュリティを強化したい場合に最適です。

3.3. PoE対応スイッチ

  • PoE(Power over Ethernet)対応スイッチは、LANケーブルを通じて電力供給が可能なタイプです。
  • LANケーブル1本で「データ通信」と「電源供給」が同時にできるため、電源の取りづらい場所でも機器を設置できます。
  • IPカメラWi-Fiアクセスポイントなど、電源が取りにくい機器を接続するのに便利です。
  • 電源アダプタや配線を減らせるので、設置作業がスムーズになります。
  • 例: 天井や壁に設置した監視カメラや、電源の取りにくい場所にWi-Fiルーターを設置する場合に便利です。

4. スイッチングハブの選び方

スイッチングハブを選ぶ際には、使用環境や用途に応じて適切なスペックを選定することが重要です。以下のポイントを押さえて、自分に最適なスイッチングハブを見つけましょう。

4.1. 通信速度

  • スイッチングハブの通信速度にはいくつかの種類があります。一般的に、用途やネットワーク環境に応じて適切な速度のものを選びましょう。
  • 100Mbps(Fast Ethernet): 比較的低速で、小規模なオフィスや家庭向け。
  • 1Gbps(Gigabit Ethernet): 現在最も普及している標準的な速度。オフィスや業務用のネットワークに適している。
  • 10Gbps(10-Gigabit Ethernet): 高速通信が必要な環境向け。データセンターや大規模な企業ネットワークで利用される。
  • 近年では、1Gbps以上の速度が主流になっており、一般的なオフィスや家庭のLAN環境でも1Gbps対応のスイッチングハブが推奨されます。

4.2. ポート数

  • スイッチングハブには、接続可能な機器の数に応じたポート数の違いがあります。用途に応じて最適なポート数を選びましょう。
  • 5~8ポート: 小規模な家庭やオフィス向け。
  • 16~24ポート: 中規模のオフィスや複数の機器を接続する場合に適している。
  • 48ポート以上: 大規模な企業ネットワークやサーバールームで使用される。
  • 今後の増設を考慮し、必要なポート数より少し多めのものを選ぶのもおすすめです。

4.3. PoE対応

  • PoE(Power over Ethernet)機能が必要かどうかも選定ポイントのひとつです。
  • PoE対応: LANケーブルを通じて電力を供給できるため、IPカメラやWi-Fiアクセスポイントなど、電源確保が難しい機器の設置に便利。
  • PoE非対応: 一般的なスイッチングハブで、通常の有線LAN接続に使用される。
  • 特に監視カメラをネットワーク経由で運用する場合は、PoE対応スイッチングハブを選ぶと配線がシンプルになります。

4.4. 設定機能

  • スイッチングハブには、設定が不要なアンマネージドスイッチと、細かくネットワークを制御できるマネージドスイッチの2種類があります。
  • アンマネージドスイッチ: 設定不要で接続するだけで使える。家庭用や小規模オフィス向け。
  • マネージドスイッチ: VLAN(仮想LAN)やQoS(通信優先度設定)などの高度なネットワーク管理が可能。大規模ネットワークやセキュリティを重視する環境に適している。
  • シンプルに使いたい場合はアンマネージドスイッチ、ネットワークの最適化や管理を重視する場合はマネージドスイッチを選ぶとよいでしょう。

5. スイッチングハブの活用例

スイッチングハブは、さまざまな場面で活躍します。具体的な活用例を見ていきましょう。

5.1. オフィスネットワーク

オフィスでは、多くのパソコンやプリンター、サーバーがネットワークに接続されます。スイッチングハブを活用することで、効率的なデータ通信が可能になります。

  • マネージドスイッチを導入すると、VLAN機能を利用して部門ごとにネットワークを分割できる。
  • PoE対応スイッチを使えば、監視カメラやWi-Fiアクセスポイントの設置がスムーズになる。

5.2. ホームネットワーク

家庭でもスイッチングハブを活用することで、ネットワーク環境を快適に整えられます。

  • アンマネージドスイッチを使えば、簡単にパソコンやスマートTV、ゲーム機を接続可能。
  • 大容量の動画やオンラインゲームを快適に楽しみたい場合は1Gbps対応スイッチが推奨される。

5.3. 監視カメラシステム

監視カメラをネットワークに接続する際には、PoE対応スイッチングハブが便利です。

  • LANケーブル1本で電源供給とデータ通信が可能。
  • 配線がシンプルになり、設置コストを抑えられる。

監視カメラやセキュリティ対策が必要な施設では、PoE対応スイッチの導入が一般的です。


6. スイッチングハブの注意点

スイッチングハブを利用する際には、いくつかの注意点があります。

  • 発熱対策: 長時間稼働すると発熱しやすいので、通気性の良い場所に設置する。
  • ケーブルの品質: 通信速度を最大限活かすために、CAT5e以上のLANケーブルを使用する。
  • ファームウェア更新: セキュリティを維持するために、定期的にファームウェアを更新する。

    特に高負荷なネットワーク環境では、冷却対策をしっかり行うことが重要です。

7. まとめ

スイッチングハブは、ネットワーク機器同士を接続し、効率的な通信を実現する重要な役割を果たします。用途や環境に応じて適切な種類を選び、通信の最適化と安定化を図ることが大切です。

  • オフィスや家庭のネットワーク構築には、使用環境に応じた適切なハブを選ぶことが重要。
  • PoE対応スイッチは監視カメラやWi-Fiアクセスポイントの設置に便利。
  • 通信速度やポート数を考慮し、将来的な拡張も見据えた選定を行う。

適切なスイッチングハブを選び、正しく運用することで、ネットワークの安定性やパフォーマンスを大幅に向上させることができます。自分の用途に合ったスイッチングハブを導入し、快適なネットワーク環境を構築しましょう。

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