「microSD Expressカード」ってなに?通常のmicroSDカードとどう違うの?
ゲームや動画、写真など、私たちが日常的に扱うデータの容量はどんどん増えていますよね。
とくに最近では、4K動画や大容量ゲームなどの“重たいデータ”も一般的になってきており、それに伴って保存メディアの性能もアップデートが求められるようになってきました。
そんななか注目されているのが、「microSD Expressカード」という新しいタイプのメモリーカードです。

名前だけ見ると「いつものmicroSDの仲間かな?」という印象を受けるかもしれませんが、実はその中身はまるで別物。
従来のmicroSDカードよりもはるかに高速な読み書き性能を持ち、特にNintendo Switch 2などの最新ゲーム機での使用が期待されています。
この記事では、「そもそもmicroSDカードってどんなもの?」という基本的なところから、
「microSD Expressって何がすごいの?」「どこが違うの?」というポイントまで、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
1. microSDカードってそもそも何?
まずは、「microSDカードってどういうものなの?」というところから、あらためて見ていきましょう。
🔹 スマホやカメラでおなじみの“あの小さなカード”
microSDカードは、その名のとおり「とても小さなSDカード」。
サイズは15mm×11mmと非常にコンパクトで、重さはわずか1g程度。ポケットに何枚入れてもかさばらない小ささです。
そのサイズ感と使いやすさから、以下のような機器で広く使われてきました。
- スマートフォン・タブレット
- デジタルカメラ・アクションカム
- ドライブレコーダー
- ポータブルゲーム機(SwitchやPSPなど)
- ノートパソコン(microSDスロット搭載モデル)
もともとはSDカードの派生規格として生まれたmicroSDカードですが、その小ささゆえに省スペース機器との相性が抜群。
今では“外部ストレージ”の定番として、多くの人に親しまれています。
🔹 保存だけでなく、アプリの動作にも関わる
これまでmicroSDカードは、写真や動画、音楽などを保存しておく「倉庫」的な役割が中心でした。
しかし最近では、スマートフォンのアプリやゲームデータなど、実際に読み込んで動作させる用途でも利用される場面が増えています。
このような使い方になると、「読み込み速度」や「書き込み速度」がより重要になります。
データを素早く扱えるかどうかで、アプリの起動時間やゲームのロード時間にも違いが出るからです。
そんなニーズに応える形で、microSDカードにもさまざまな規格が登場してきました。
2. microSD Expressカードとは?
そんなmicroSDカードの“次なる進化系”ともいえるのが、「microSD Expressカード」です。
これは、従来のmicroSDカードに比べて圧倒的に高速なデータ転送を可能にする新規格。
SDカードの規格を定めている国際団体「SD Association」によって2022年に発表され、
ゲーム機やハイエンドスマートフォンなど、処理速度が重要な機器向けに導入が始まっています。
🔹 PCIeとNVMeがポイント!
microSD Expressカードのすごさの秘密は、「PCIe(ピーシーアイ・エクスプレス)」と「NVMe(エヌブイエムイー)」という技術を使っていることにあります。
これらはもともと、パソコンのSSD(高速ストレージ)などで使われていた規格です。
特にNVMeは、SSDの性能をフルに引き出すために作られた次世代の高速転送プロトコル。
その技術を、わずか15mmの小さなカードの中に詰め込んでしまったのがmicroSD Expressなのです。
その結果、microSD Expressカードではなんと最大985MB/sという高速転送が可能になりました。
これは、従来のmicroSDカード(UHS-I規格:約104MB/s)のおよそ9〜10倍にあたります。
🔹 速度だけじゃない進化
速度の向上以外にも、microSD Expressカードには次のようなメリットがあります。
- ゲームのロード時間が大幅に短縮される
- アプリの起動やインストールがサクサク進む
- 大容量の4K・8K動画もスムーズに扱える
- フルスペックの性能を発揮できれば、外付けSSDに匹敵する体感速度
もちろん、これらのメリットを活かすには「対応機器」が必要になりますが、
特にNintendo Switch 2のような次世代ゲーム機との組み合わせでは大きな効果が期待されています。
3. 従来のmicroSDカードとのちがいを比較!
ここまで読んで、「なるほど、高速化されてるんだな」ということは伝わったかと思いますが、
では実際に、どれくらい違うのか?従来のmicroSDカードと並べて比べてみましょう。
比較項目 | 従来のmicroSDカード(UHS-I) | microSD Expressカード |
最大転送速度 | 約104MB/s | 最大985MB/s |
インターフェース | UHS-I(SD規格) | PCIe + NVMe |
対応機器 | 多くのスマホ・PC・カメラなど | Switch 2など限られた対応機器 |
主な用途 | データ保存、軽めのアプリや動画 | 高速ゲーム、4K/8K動画、重たいアプリ |
🔹 「汎用性」か「パフォーマンス」か
従来のmicroSDカードは、価格も手ごろで、さまざまな機器で使えるという「汎用性の高さ」が魅力です。
一方で、ゲームやクリエイティブ用途など、スピードが求められるシーンでは力不足になることもあります。
一方、microSD Expressカードは、そのパフォーマンスは素晴らしいものの、まだ対応機器が限られているというのが現状です。
そのため、「とにかく速さ重視!」という方や、「Switch 2で快適にプレイしたい!」というニーズにマッチしています。

🔹 値段はやや高め。でも価値アリ
microSD Expressカードは、今のところ価格がやや高めなのも事実です。
ただし、そのぶん従来では体感できなかった快適さやストレスフリーな操作感を得られる可能性も大。
「容量重視」「価格重視」であれば従来のmicroSD、
「速度重視」「快適さ重視」であればmicroSD Express――そんなふうに、使い方に合わせて選ぶのが正解かもしれません。
4. Switch 2とmicroSD Expressカードの関係
さて、ここからはmicroSD Expressカードの「使いどころ」について見ていきましょう。
特に注目したいのが、次世代ゲーム機「Nintendo Switch 2」との組み合わせです。
従来のSwitch(初代・有機ELモデル)でもmicroSDカードによるストレージ拡張は一般的でしたが、
Switch 2ではハードウェアの進化に合わせて、「高速ストレージとの相性」がより重要なポイントになっています。
🔹 Switch 2にはUFS 3.1が搭載!
まず注目したいのが、Switch 2に搭載される内蔵ストレージの性能です。
Switch 2では、最新のスマートフォンなどでも採用されている「UFS 3.1」という高速ストレージ規格が使われており、
最大で2100MB/sという非常に高速な読み書きが可能とされています。
つまり、ゲームの起動やロード時間、ダウンロード速度などが格段にスピードアップしているわけですね。
ただし――
いくら速くても、容量には限りがあります。
ゲームによっては1本で数十GBに達するものもあり、内蔵ストレージだけでは足りなくなるケースも出てきます。
🔹 「拡張ストレージ」としてのmicroSD Express
そこで活躍するのが、microSD Expressカード。
このカードを使えば、Switch 2のストレージを簡単に拡張できるうえ、UFSストレージに匹敵するような高速転送にも対応できます。
とくに以下のような使い方に向いています。
- ダウンロード専用タイトルの保存
- アップデートデータ・追加コンテンツの保管
- ゲームのセーブデータやキャッシュの保存先
- スクリーンショットや動画の記録用
これらの用途に対し、従来のmicroSDカードでは読み込み速度がネックになることもありました。
しかし、microSD Expressカードであれば、ゲームのロード時間を極力短く保ちつつ、容量の悩みも解決できるというわけです。
🔹 フル活用には「対応」が必要
ただし注意点として、microSD Expressカードはすべての機器で使えるわけではありません。
Switch 2側がこの新しい規格に対応している必要があり、旧型Switchでは使用できない可能性が高いです。
そのため、microSD Expressカードを購入する際は「Switch 2対応モデル」かどうかをしっかり確認するようにしましょう。
5. 購入前にチェックしておきたいポイント
性能が優れているとはいえ、新しい規格だからこそ購入時に気をつけたい点もいくつかあります。
ここでは、microSD Expressカードを選ぶときにチェックしておくべき3つのポイントをご紹介します。
✅ ① 対応機器の確認を忘れずに
まず最も重要なのが、「機器側がmicroSD Expressに対応しているか」という点。
まだ登場したばかりの規格なので、現時点では使える機器が限られています。
パッケージや製品ページには「microSD Express対応」や「EX」「PCIe/NVMe」などの表記がある場合が多いので、
購入前にしっかりチェックしておきましょう。
また、Switch 2に関しても、microSD Express対応スロットを搭載しているかどうかはモデルや仕様によって異なる可能性があるため、今後の公式情報をこまめに確認するのがベストです。
✅ ② 容量は「現在の使い方+α」で考える
現在市販されているmicroSD Expressカードの容量は、128GB〜1TB程度が主流です。
将来的には最大2TBまで対応予定とされています。
ただし、価格もまだ高めなので、「使い切れない大容量」よりも自分の用途に合った容量+少し余裕があるサイズ感を選ぶのがおすすめです。
例として
- 軽めのゲームやデータ保存中心 → 256GB
- DL版ゲームを多く使う予定 → 512GB〜1TB
というような感じです。
✅ ③ 価格と性能のバランスを見極める
最後に気になるのが価格。
microSD Expressカードは、まだ一般的ではないぶん従来のmicroSDよりも高めの価格帯になっています。
ただし、速度・性能の向上を考えると、コストパフォーマンスの面では非常に優れているともいえます。
また、対応機器が増えていくにつれて価格の下落やラインアップの拡充も期待できるため、今は必要な容量に絞って選んでおくのが現実的です。
6. まとめ:未来のゲーム体験をもっと快適に
microSD Expressカードは、これまでのmicroSDカードとはまったく別物といっていいほど、大きな進化を遂げた新規格です。
特にNintendo Switch 2のように、「処理速度と容量の両立」が求められる最新機器では、その真価を発揮してくれるはず。
もちろん、導入にあたっては対応機器や容量・価格といったポイントのチェックも必要ですが、
うまく使いこなせば、ゲームもアプリも動画も、これまで以上にストレスフリーで快適な体験が待っています。
「ちょっと高いけど、ロード時間の短縮は魅力的かも…」
「Switch 2を買ったら、一緒に導入してみようかな」
そんなふうに感じた方にとって、microSD Expressカードは “ひと足早い次世代ストレージ体験”の入り口となるはずです。
ぜひ、ご自身のスタイルに合った1枚を見つけてみてください。
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